かわさきジャズ 公式ブログ

2021年11月30日

【プレスリリース】 「かわさきジャズ2021」閉幕

 かわさきジャズ実行委員会(実行委員長 草壁悟朗)と川崎市が主催した「かわさきジャズ2021」は、11月14 日にすべてのプログラムを終了しました。9月17日から約2ヶ月にわたり、川崎市内各所でホールでの有料音楽公演、フリーライブ、地元企業や団体との連携イベントに約14,000人の参加がありました。
 コロナ禍において、中止せざるを得ないイベントもありましたが、「コロナ禍でも開催してくれて嬉しい」「これからも継続してほしい」などたくさんのお声を頂戴しています。

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【音楽公演】ミューザ川崎やカルッツかわさきなど全6会場でリアルで公演を開催
感染症対策には十分配慮し、ホールで行う有料音楽公演は6会場9公演を実施。
 新百合トウエンティワンホールでは、1日に4グループが出演する新企画「しんゆりJAZZストリーム」を2日間にわたり公演。2日目の最後には92才のレジェンド北村英治(cl)が登場、会場を沸かせました。

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 阿川泰子(vo)、由紀さおり(vo)などシンガー6人が競演したカルッツかわさき公演、音楽活動50周年を迎えた渡辺香津美(g)、20代若手実力派が躍動したProject Mやかわさきジャズ オリジナル企画The Three Musesなど「かわさきジャズ」でのみ聴くことのできるサウンドをお届けしました。

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〇公演一覧
https://www.kawasakijazz.jp/program/

【ONLINE配信】洗足学園音楽大学 ドキュメンタリータッチの動画を配信
例年、洗足学園音楽大学フェスティバル(学園祭)で共催している「Senzoku Jazz Heritage」。3回目の今年は「Never Stop The Music」と題し、コロナ禍大きなダメージを受けたアーティスト、学生の思いを込めた演奏をドキュメンタリータッチで配信。かわさきジャズ2021の最終日にふさわしいメッセージを届けました。
 現在は「SENZOKU Jazz course LIVE STREAMING」〜ジャズコース配信チャンネル by Yuki Arimasa〜でご覧いただけます。



【地域連携】公募スペシャルライブは市内4か所で開催/かわさきスポーツパートナーの川崎フロンターレと初コラボ
開催7年目となる今年も、川崎の持つ地域資源を活かした多様な主体と連携してスペシャルイベントや公募スペシャルライブ(中止:生田緑地ばら苑)で人とまちを繋ぎました。
https://www.kawasakijazz.jp/event/

〇かわさきスポーツパートナーの川崎フロンターレとは、川崎出身の世界的歌手「坂本九」さんの生誕80周年を記念したイベント「坂本九ランド」(11/3)で初のコラボレーションが実現。
キーアーティストのジョニクロも演奏。坂本九さんの名曲とともにかわさきジャズ2021イメージソングが試合前の等々力陸上競技場周辺に流れ、この日4度目のJリーグチャンピオンを決めた川崎フロンターレにエールを送りました。

〇KJPF2021(川崎ジャズプレーヤーズフェスタ) 10/10
今年も、ライブハウス川崎セルビアンナイトに9組の地元ジャズプレイヤーが集結し、無観客の中ハイレベルなライブを繰り広げました。その模様はYoutubeで生ライブ配信され、11/26現在、視聴数は1,800回を超えています。

KJPF YouTubeチャンネル 




【人材育成】ジャズアカデミーの開催・ダイジェスト動画の配信、かわさきジャズ2021のキーアーティストの活動を応援
〇ジャズアカデミー
音楽を切り口とし、第一線で活躍する講師陣による実演を交えた多彩な内容の公開講座。各回のダイジェスト動画を公式YouTubeチャンネルにて公開しています。

かわさきジャズ公式YouTubeチャンネル


〇キーアーティスト ポップスユニット「ジョニクロ」
かわさきジャズ2021を盛り上げる広報大使として、川崎にゆかりのあるミュージシャンを「キーアーティスト」に選出しています。今年は、都内、川崎エリアや都内を中心に活動する、ポップスユニットの「ジョニクロ」。
 イメージソングの制作や記者発表会や地域連携イベントでの演奏のほか、テレビ出演など様々な企画で活躍いただきました。

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・活動記録
10月5日(火) かわさきFM「ミュートンタイム」出演
10月14日(木) tvk「猫のひたいほどワイド」出演
10月31日(日) 公募スペシャルライブ特別出演/生田緑地ばら苑(雨天のため中止)
11月3日(水祝) 川崎フロンターレ「坂本九ランド」ライブ出演/等々力陸上競技場前芝生広場
11月14日(日) 狛江市民まつり「駅前ライブ」出演/狛江駅前広場
10月30日(土)〜15日(日) アトレ川崎館内放送用「かわさきジャズ」PR音源の制作・提供
 イメージソングを使用したCM動画は、かわさきジャズ公式Youtubeチャンネルで公開しているほか、期間中、市内各所の大型ビジョンで放映されました。



〇ボランティア
各イベント会場では感染症対策のため、来場者の検温、ロビーの消毒作業や誘導等に会場スタッフとして、のべ48名(登録24名)に参加していただきました。

最後にになりましたが、
ご来場の皆さま、ご関係者の皆さまに心より感謝申し上げます。
See You Next Time!
posted by kawasakijazz at 17:26| Comment(0) | レポート2021

2021年11月26日

【ライブレポート】11/12「しんゆりジャズスクエア vol.51」〜右近茂が奏でるサム・テイラーの魅惑の名曲達

 右近茂(ts)、田辺充邦(g)、廣瀬みちる(p)、佐瀬正(b)、吉岡大輔(ds)が出演する、かわさきジャズ 2021連携公演【しんゆりジャズスクエア vol.51 あの人気だったムードサックスのサム・テイラーが蘇る!】が11月12日、川崎市アートセンター アルテリオ小劇場にて開催された。

 想像以上にとても素晴らしいライブだった。ライブから帰宅後もサム・テイラーの楽曲達を聴いていた程、鮮明に蘇ってくる一夜を改めて振り返ってみたいと思う。

  チケットは完売御礼。会場は、懐かしの名曲に期待を寄せるオーディエンスで演奏を待ちわびていた。19時になり、一曲目に聴こえてきたのはジャズのスタンダードナンバー、デューク・エリントン「Don't get around much anymore」。右近の、のびやかなテナーサックスから会場を包み込んでいく。その音色に合わせ、佐瀬のベースも小粋な穏やかなリズムで彩る。彼らの背景のブルーとパープルが掛け合わさったような照明も哀愁が漂ってくるようだ。

 大きな拍手の中、映画音楽で知られる「モア」へと続いていく。軽快な楽曲で思わずリズムを刻みたくなる廣瀬のピアノの高音が心地良く感じられ、右近も手でリズムを取っていたのが印象的であった。田辺のギターソロも夢の中にいるような、ずっと聴いていたいサウンドであった。

 続いて、「こんばんは!」の挨拶と共にMCへ。右近が最初に演奏したジャズのスタンダードチューン2曲の紹介の後、「皆様お待ちかねの魅惑のムードテナー、サム・テイラーの楽曲、まずは、皆様大好きなスターダスト、星屑をお届けいたします。」と、「スターダスト」へ。ロマンティックな右近のテナーサックスから入っていく。吉岡のドラムブラシの音も楽曲にマッチしていて聴き入るのであった。

 温かい拍手と共に、演奏中に使用されていたミラーボールについて、右近が「昭和が蘇ったみたいで、とても嬉しい!」と語っているのが印象的であった。また、テナーサックスのサブトーンについて、右近が実際に普通に出す音と比較して演奏をし、ムーディーな音色を響かせ、右近の凄さにオーディエンスからも拍手が沸き起こる。

 次に、サム・テイラーの演奏で有名な「ダニーボーイ」で会場は、リラックスな雰囲気へと誘われる。ここで、メンバー紹介に入り、田辺がピアニストの廣瀬、ベーシストの佐瀬、ドラムスの吉岡をオーディエンスを引き込むように笑いを交えながら紹介していく。ギタリスト田辺も、自身を「オリンピックの閉会式でジャズがかかっていた演奏をアレンジと共にしていた。」と紹介しているのが、印象的であった。そして、「日本を代表するテナーサックス&クラリネットも素晴らしい右近茂!」と紹介していく。

 続いて、右近が「007」の新作の話題をしつつ「ロシアより愛をこめて」を演奏する。ドラムの小気味良いハイハットと共に赤い照明が映画を物語るようであった。大きな拍手が送られる中、右近が右手の親指と人差し指で決めポーズを作り、会場に笑顔が生まれつつ、一部が幕を閉じた。

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 二部は、ジャジーなピアノからグルーブ感が良い「ブルーレディに赤いバラ」から始まる。照明もブルーと赤で曲の印象を表現していた。さらに右近が「一段と蘇る昭和〜魅惑な」と紹介し、「1、2、3、4〜」とカウントし「夜霧のしのび逢い」へ。ブルーの照明と共にミラーボールが回り、テナーサックスの壮大なサウンドスケープがオーディエンスを魅了していたのであった。また、ピアノを弾きながら、笑顔を時折見せる廣瀬も素敵だった。

 続いて、右近が「夜霧といったら、これしかない!石原裕次郎〜」と、石原裕次郎の「夜霧よ今夜も有難う」がピアノのメロディーから始まる。途中、オーディエンスの歓声が沸き、会場の熱気も上がってくるようであった。演奏後、右近がこの曲やよくラジオでかかっていた歌の無い歌謡曲について話し、終始和やかな雰囲気であった。

 きわめつけは、れっきとしたジャズの名曲「ハーレムノクターン」。聴きなじみのあるテナーサックスの色気のあるメロディーと音色に会場全体が聴き入る。ピンクの照明とミラーボールも魅惑のステージにしてくれる。「ハーレムノクターン」について、右近は駆け出しの頃練習したこと、右近のアルバムに、この曲の隠しトラックがあることを話してくれ、最後の曲「夕陽に赤い帆」を奏で、会場の熱気は手拍子と共に最高潮に達した。盛大な拍手の中、右近、田辺、廣瀬、佐瀬、吉岡は、笑顔でおじぎをし、二部が終演したのであった。

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 アンコールの拍手が鳴り止まない中、「今日は、本当にありがとうございました!」と会場全体に感謝しつつ、田辺が来月のしんゆりジャズスクエアの主役を務めることについて話し、アンコール「A列車でいこう」へ。ソロがギターからピアノ、ドラムとテナーサックスが掛け合うように演奏し、ベースへといく流れがベテランならではの円熟したステージであった。温かい拍手の中、挨拶とおじぎ、一部の最後でも披露していた右近の決めポーズで幕が閉じた。

 今回、サム・テイラー特集とあって、全体的にムーディーな曲で構成されており、また違うジャズの楽しみ方が出来て、とても貴重な素晴らしい公演であった。特に右近のMCでの言葉「音楽は、残るものは残っていく」が私の胸に強く突き刺さった。サム・テイラー、ジャズのスタンダードナンバー、昭和歌謡曲は、永遠に残っていくであろう。今年も、ジャズを通して橋を架けてくれたかわさきジャズ、しんゆりジャズスクエアに感謝したい。

Text:Chisato / かわさきジャズ公認レポーター

●公演情報
かわさきジャズ2021 連携公演
しんゆりジャズスクエア vol.51
あの人気だったムードサックスのサムテイラーが蘇る!
日時:2021年11月12日(金)
会場:川崎市アートセンター アルテリオ小劇場
出演:右近茂(ts)、廣瀬みちる(p)、田辺充邦(g)、佐瀬正(b)、吉岡大輔(ds) 
posted by kawasakijazz at 10:45| Comment(0) | 日記

2021年11月25日

【ライブレポート】11/11「JAZZ 70+ 〜ジャズの神髄」鈴木良雄×伊藤君子×山本剛 それぞれのキャリアがシンクロして広がる美しく豊かな音世界 

 かわさきジャズ音楽公演プログラム【JAZZ 70+ ジャズの神髄】が、11月11日(木)15:00〜、ラゾーナ川崎プラザソルで行われた。

 卓越した演奏技術と「チンさん」のニックネームで幅広い音楽ファンから親しまれる日本ジャズ界のリーダー的存在、ベーシストの鈴木良雄、ソウルフルでメロディックな歌唱スタイルでジャズ・ヴォーカル界の至宝として際立つ、ヴォーカリストの伊藤君子、ブルージーで歌心あふれるプレイが多くのファンをもつピアニストの山本剛。70代を迎えた今もジャズ・シーンの一線で活躍し続ける3人のセッションが、どんな音世界に連れて行ってくれるのか期待が高まる。

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 第1部は鈴木と山本のデュオ。鈴木の軽妙な語り口でのMCから始まり、「コロナとて そろそろ収束 するコロナ」のウィットに富んだ一句で会場が笑いに包まれる。最初に鈴木のオリジナルを2曲演奏。「ゲームボーイ」は、山本の奏でるさざ波のようなインプロヴィゼーションが印象的で、後半はお互いを高め合いながら演奏しているかのようなユニゾンやコール&レスポンスに会場のボルテージも上がった。「キスイズ オン ザ ウインド」はミディアム・テンポで、甘く語りかけるような珠玉のナンバー。チョコレートを口の中で溶かしているような気分で聴いた。

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 続いて、1980年代後半放送されていたトーク番組「Ryu’s Bar気ままにいい夜」のテーマ曲として山本が演奏していたバド・パウエルの「クレオパトラの夢」。ステージのライトも青から赤へ。情熱的なトーンと激しいシンコペーションのリズムがエキゾシズムを演出していた。

 4曲目は、1950年代ナット・キング・コールが歌って大ヒットしたレイ・エバンス/ジェイ・リビングストンの「モナ・リザ」。味わい深いプレイに、会場は静かに深い感動で包まれた。鈴木の技巧的なソロが続き、山本のピアノが力強いタッチで乗っかると、1部のフィナーレ、アフロキューバンジャズの名曲、イワン・ミルズ/デューク・エリントンの「キャラバン」が始まった。ベースとピアノだけなのに、クラーベやボンゴが聴こえてくるかのようなリズムのキレ、卓越したアンサンブル。ラストに差し込んだオマージュ的なフレーズにも余裕を感じる。

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  第2部から、伊藤が姿を現す。最初は山本と2人で、ジョージ・ガーシュイン/イラ・ガーシュインの「ザ マン アイ ラブ」をプレイ。潤いと落ち着きがある伊藤の歌声に、会場からため息が漏れる。続くエロール・ガーナ―の「ミスティ」は思い入れのようなものを強く感じたが、MCで、閉店して久しい六本木のミスティという店を思い出しながら緊張の中でも懐かしい気持ちで歌ったとのこと。

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 3曲目から鈴木が入り、トリオでの演奏。ノーマン・ギンベル/ミッシェル・ルグランの「ウォッチ ホワッツ ハプンズ」を、鈴木と山本が繰り出す凛としたビートに乗って、伊藤が爽やかに歌い上げる。続くアラム アンド マリーン・バーグマン/ミッシェル・レグランドの「ホワット アー ユー ドゥーイング ザ レスト ユア ライフ」は、「残りの人生、君はどう過ごすの?僕と共に過ごしてくれないか」と優しく語りかける美曲だが、叙情的に歌い上げる伊藤や、優しい音色でその声に寄り添う鈴木、山本からそのメッセージがクリアに伝わり、会場は再び深い感動に包まれた。5曲目はノーマン・ギンベル/トゥーツ・シールマンスの「ブルーゼット」。夢見るようなジャズワルツで、伊藤の流れるようなアドリブや歌心がつまったハイトーンボイスが絶品だった。

 ラストはスタンダード、コール・ポーターの「ラブ フォー セール。とにかく3人とも楽しそうで、自然にこちらもウキウキしてくる。山本のインプロヴィゼーションも、それを支える鈴木のベースも、2人に笑顔で目をやりながら明るいトーンで歌い上げる伊藤も、全てが絶品で会場にも笑顔の花が咲いた。

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 当然アンコールの大きな拍手。鈴木のオリジナル「ザ モメント」を25年ぶりに歌う。冒頭を聴いただけで、伊藤がこの曲を大切に思っていることが伝わり、キャリアを積み重ねた今の声の美しさを再認識した。鈴木と山本の透明感のあるプレイも、伊藤の歌声へのリスペクトのように聴こえた。

 終了が告げられても立ち上がる観客もいない。「もう一曲何かやりますか?」という伊藤の問いかけに、大きな拍手。ルイ・アームストロングの名曲、ジョージ・ダグラス/ジョージ・デイビット・ワイスの「この素晴らしき世界」を歌う。最初は、方言を織り交ぜて日本語で歌うウィットさを見せ、ラストは3人のキャリアを物語る素晴らしい一体感でのアンサンブルで素敵な余韻を残してライブ終了。

 あっという間の2時間。3人がお互いをリスペクトし合い、楽しそうに演奏する姿に、背中を押され、勇気をもらった気分になった。「ジャズの神髄」は、キャリアを重ねて磨かれた技術のみだけでなく、その技術のシンクロによって広がる美しく豊かな音世界と、そこから生まれるたくさんの笑顔だった。70+の+は、Over70の意味だけではなく、3人の積み重ねてきたキャリアを+(プラス)させてつくり上げたステージ、という意味が大きかったのだろうと思った。

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Text:小町谷 聖(かわさきジャズ公認レポーター)
Photo:Tak. Tokiwa

●公演情報
かわさきジャズ2021「JAZZ 70+〜ジャズの神髄」
日時:2021年11月11日(木)
会場:ラゾーナ川崎プラザソル
出演:鈴木良雄、伊藤君子、山本剛

<SET LIST>
1. Game Boy
2. Kisses On The Wind
3. Cleopatra’s Dream
4. Mona Lisa
5. Caravan

6. The Man I Love
7. Misty
8. Watch What Happens
9. What Are You Doing The Rest Of You Life?
10. Bluesett
11. Love For Sale

Encore
E1. The Moment
E2. What a Wonderful World
posted by kawasakijazz at 10:43| Comment(0) | 日記