かわさきジャズ 公式ブログ

2021年11月26日

【ライブレポート】11/12「しんゆりジャズスクエア vol.51」〜右近茂が奏でるサム・テイラーの魅惑の名曲達

 右近茂(ts)、田辺充邦(g)、廣瀬みちる(p)、佐瀬正(b)、吉岡大輔(ds)が出演する、かわさきジャズ 2021連携公演【しんゆりジャズスクエア vol.51 あの人気だったムードサックスのサム・テイラーが蘇る!】が11月12日、川崎市アートセンター アルテリオ小劇場にて開催された。

 想像以上にとても素晴らしいライブだった。ライブから帰宅後もサム・テイラーの楽曲達を聴いていた程、鮮明に蘇ってくる一夜を改めて振り返ってみたいと思う。

  チケットは完売御礼。会場は、懐かしの名曲に期待を寄せるオーディエンスで演奏を待ちわびていた。19時になり、一曲目に聴こえてきたのはジャズのスタンダードナンバー、デューク・エリントン「Don't get around much anymore」。右近の、のびやかなテナーサックスから会場を包み込んでいく。その音色に合わせ、佐瀬のベースも小粋な穏やかなリズムで彩る。彼らの背景のブルーとパープルが掛け合わさったような照明も哀愁が漂ってくるようだ。

 大きな拍手の中、映画音楽で知られる「モア」へと続いていく。軽快な楽曲で思わずリズムを刻みたくなる廣瀬のピアノの高音が心地良く感じられ、右近も手でリズムを取っていたのが印象的であった。田辺のギターソロも夢の中にいるような、ずっと聴いていたいサウンドであった。

 続いて、「こんばんは!」の挨拶と共にMCへ。右近が最初に演奏したジャズのスタンダードチューン2曲の紹介の後、「皆様お待ちかねの魅惑のムードテナー、サム・テイラーの楽曲、まずは、皆様大好きなスターダスト、星屑をお届けいたします。」と、「スターダスト」へ。ロマンティックな右近のテナーサックスから入っていく。吉岡のドラムブラシの音も楽曲にマッチしていて聴き入るのであった。

 温かい拍手と共に、演奏中に使用されていたミラーボールについて、右近が「昭和が蘇ったみたいで、とても嬉しい!」と語っているのが印象的であった。また、テナーサックスのサブトーンについて、右近が実際に普通に出す音と比較して演奏をし、ムーディーな音色を響かせ、右近の凄さにオーディエンスからも拍手が沸き起こる。

 次に、サム・テイラーの演奏で有名な「ダニーボーイ」で会場は、リラックスな雰囲気へと誘われる。ここで、メンバー紹介に入り、田辺がピアニストの廣瀬、ベーシストの佐瀬、ドラムスの吉岡をオーディエンスを引き込むように笑いを交えながら紹介していく。ギタリスト田辺も、自身を「オリンピックの閉会式でジャズがかかっていた演奏をアレンジと共にしていた。」と紹介しているのが、印象的であった。そして、「日本を代表するテナーサックス&クラリネットも素晴らしい右近茂!」と紹介していく。

 続いて、右近が「007」の新作の話題をしつつ「ロシアより愛をこめて」を演奏する。ドラムの小気味良いハイハットと共に赤い照明が映画を物語るようであった。大きな拍手が送られる中、右近が右手の親指と人差し指で決めポーズを作り、会場に笑顔が生まれつつ、一部が幕を閉じた。

1112_1.jpeg

 二部は、ジャジーなピアノからグルーブ感が良い「ブルーレディに赤いバラ」から始まる。照明もブルーと赤で曲の印象を表現していた。さらに右近が「一段と蘇る昭和〜魅惑な」と紹介し、「1、2、3、4〜」とカウントし「夜霧のしのび逢い」へ。ブルーの照明と共にミラーボールが回り、テナーサックスの壮大なサウンドスケープがオーディエンスを魅了していたのであった。また、ピアノを弾きながら、笑顔を時折見せる廣瀬も素敵だった。

 続いて、右近が「夜霧といったら、これしかない!石原裕次郎〜」と、石原裕次郎の「夜霧よ今夜も有難う」がピアノのメロディーから始まる。途中、オーディエンスの歓声が沸き、会場の熱気も上がってくるようであった。演奏後、右近がこの曲やよくラジオでかかっていた歌の無い歌謡曲について話し、終始和やかな雰囲気であった。

 きわめつけは、れっきとしたジャズの名曲「ハーレムノクターン」。聴きなじみのあるテナーサックスの色気のあるメロディーと音色に会場全体が聴き入る。ピンクの照明とミラーボールも魅惑のステージにしてくれる。「ハーレムノクターン」について、右近は駆け出しの頃練習したこと、右近のアルバムに、この曲の隠しトラックがあることを話してくれ、最後の曲「夕陽に赤い帆」を奏で、会場の熱気は手拍子と共に最高潮に達した。盛大な拍手の中、右近、田辺、廣瀬、佐瀬、吉岡は、笑顔でおじぎをし、二部が終演したのであった。

1112_2.jpeg

 アンコールの拍手が鳴り止まない中、「今日は、本当にありがとうございました!」と会場全体に感謝しつつ、田辺が来月のしんゆりジャズスクエアの主役を務めることについて話し、アンコール「A列車でいこう」へ。ソロがギターからピアノ、ドラムとテナーサックスが掛け合うように演奏し、ベースへといく流れがベテランならではの円熟したステージであった。温かい拍手の中、挨拶とおじぎ、一部の最後でも披露していた右近の決めポーズで幕が閉じた。

 今回、サム・テイラー特集とあって、全体的にムーディーな曲で構成されており、また違うジャズの楽しみ方が出来て、とても貴重な素晴らしい公演であった。特に右近のMCでの言葉「音楽は、残るものは残っていく」が私の胸に強く突き刺さった。サム・テイラー、ジャズのスタンダードナンバー、昭和歌謡曲は、永遠に残っていくであろう。今年も、ジャズを通して橋を架けてくれたかわさきジャズ、しんゆりジャズスクエアに感謝したい。

Text:Chisato / かわさきジャズ公認レポーター

●公演情報
かわさきジャズ2021 連携公演
しんゆりジャズスクエア vol.51
あの人気だったムードサックスのサムテイラーが蘇る!
日時:2021年11月12日(金)
会場:川崎市アートセンター アルテリオ小劇場
出演:右近茂(ts)、廣瀬みちる(p)、田辺充邦(g)、佐瀬正(b)、吉岡大輔(ds) 
posted by kawasakijazz at 10:45| Comment(0) | 日記