2019年11月30日

【レポート】11月15日「Colorful JAZZ〜細川千尋 × 山下伶 × はたけやま裕」

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 【かわさきジャズ2019】の音楽公演プログラムのひとつである【Colorful JAZZ〜細川千尋 × 山下伶 × はたけやま裕】が11月15日、ラゾーナ川崎プラザソルにて開催された。

 細川千尋(pf)、山下伶(クロマチックハーモニカ)、はたけやま裕(per)、実力派女性アーティスト三人の初共演が高い注目を集めた同公演。モノトーンの衣装を纏った三人がオンステージし、スティーヴィー・ワンダーのヒットナンバー「愛するデューク(Sir Duke)」でショーがスタート。タイトルの“サー・デューク”ことデューク・エリントンを筆頭に、ジャズ界の先駆者たちへの愛と敬意をゴキゲンに歌いあげた同曲は、金曜19時、ジャケットを脱ぎ、週末をはじめるのにうってつけのナンバーである。細川、山下のソロに続き、はたけやまの繰り出す軽快なリズムとサイレンホイッスルの音色が、そのワクワク感をさらに高めてくれる。

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 第一部・第二部ともに、それぞれの演奏したい曲を持ち寄ったというこの日。キラキラした瞳で顔を見合わせながら、お互いのオリジナル・ナンバーを大切に奏でる細川と山下、そして、そんな二人を母のような眼差しで見守りながら、力強く、確かなリズムで支えるはたけやま…そんな三人の構図がなんとも自然で、この日が初共演という心の中の“メモ”はすぐにどこかへと消え去った。

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 和やかな雰囲気でスタートしたショーも、第一部終盤あたりから徐々に熱を帯び、その形相を変えてゆく。第一部のラストを飾った「レフト・アローン」では、はたけやまがトルコの打楽器ダラブッカでリズムを変幻自在に操り、会場を無国籍なグルーヴが包み込む。そして、第二部、繊細さとエモーションを兼ね備えた細川のピアノがスリリングなセッションをぐいぐいと引っ張る「ナーディス」は、まさに圧巻のひと言!“変化球”的アレンジでこれらジャズ名曲が披露されると、会場にはひと際大きな拍手と歓声が巻き起こった。

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 そして、そんな緊張感あふれるセッションを繰り広げた後には、 “ひと呼吸”とばかりに「枯葉」を直球アレンジでしっとりと演じ、それぞれソロをたっぷりと聴かせる。見事な緩急である。また、演奏の合間には三者三様の「縁」があったという、昨年逝去されたピアニストの佐山雅弘氏との思い出を語る一幕も。ミューザ川崎のホールアドバイザーを務め、【かわさきジャズ】の発展にも多大な貢献を果たしてくれた佐山氏。「さっき、佐山さんぽいフレーズがあったよ!」「もしかしたら、そこらへんにいるのかも!」などと嬉しそうに話す三人を通して、改めて佐山氏が【かわさきジャズ】に残してくれた「音楽」と「縁」、そして、その人柄に思いを馳せた。

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 この日に演奏された最後のオリジナル曲は、はたけやまが生まれ故郷の岩手・陸前高田市「ハナミズキのみちの会」の応援ソングとして書き下ろしたナンバー「ハナミズキの願い」。優しく、力強く、そしてどこか懐かしいメロディーを山下が歌うように伸びやかに奏で、誰もが持つ“愛する故郷”の情景を浮かび上がらせると、最後は再び「りんご追分」を変化球的アレンジで演じて本編終了。アンコールはボサノヴァの名曲「ワン・ノート・サンバ」。終演後の三人の弾けるような笑顔と、まだ耳に残るボサノヴァの洒脱なリズムが家路の足取りを軽くさせる。

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 今年9月にメジャーデビュー作『My variations』をリリースし、来年1月には記念公演も控える細川、11月27日にメジャー4作目となる『Eternal Ensembles』が発売したばかりの山下、そして、一流アーティストら多数のセッションに引っ張りだこのはたけやま。ますます活躍の場を広げていくであろう三人が、再び同じステージに立つ日を楽しみに待ちたい。

Text by AT

◎公演情報
日時:2019年11月15日(金)19時開演
会場:ラゾーナ川崎プラザソル
出演:細川千尋(pf)、山下伶(クロマチックハーモニカ)、はたけやま裕(per)

◎セットリスト
第1部
1. Sir Duke
2. Someday My Prince Will Come
3. Holiday
4. 木もれび
5. Left Alone
第2部
6. Espoir
7. Nardis
8. Autumn Leaves
9. ハナミズキの願い
10.りんご追分
Enc. One Note Samba
posted by kawasakijazz at 08:21| Comment(0) | レポート
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