かわさきジャズ 公式ブログ

2020年11月11日

【ジャズアカデミー 】はたけやま裕&keikoがとっておきの言葉と演奏で綴る、パーカッションとジャズの素敵な出会い

 ジャズを中心に音楽の楽しみ方を著名なミュージシャンがレクチャーするかわさきジャズ人気の公開講座【ジャズアカデミー】の第4回(最終回)が10月30日、ミューザ川崎音楽工房、市民交流室で行われた。講師は、ソロライブやアニメーションとコラボした音楽制作の評価も高いパーカッショニストはたけやま裕と確かなテクニックと流麗な演奏で彼女の音楽を支えるピアニストkeikoで、テーマは「リズムとジャズ」。新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、講師と参加者のソーシャルディスタンスも確保され、講師がマスクを外してのレクチャーや演奏が聴けるのが嬉しい。

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 「ジャズにパーカッションは必須な楽器ですか?」という問いかけから「否ですよね。パーカッションはジャズのどんな分野で活躍しているのか、ラテンジャズ、フュージョンジャズですね。」と流暢な解説が続いていく。ラテンジャズはブラジル系のサンバやボサノバ、キューバ系のマンボ等をもとにしているジャズ。そこでパーカッションがなぜ活躍できるのか、それはリズムがスクエア(はねていない)だから。二人は「A列車で行こう」「イパネマの娘」「チュニジアの夜」の演奏で言葉よりわかりやすく音で解説。コンガやボンゴを使ってのラテンフレーバーの利いたおしゃれな演奏で参加者の期待を高める。息ぴったりで演奏する姿に、アーティストとしての凄味を感じる。講座の中心は、ジャズの歴史に名を残した二人のパーカッショニストの足跡を追う内容に入っていった。

 前半は現役で活躍するブラジルのパーカッショニスト、アイアート・モレイラについて。はたけやまは「パーカッションはリズムを刻むだけが仕事ではない。空間を彩る、曲のイメージを膨らませる役割もある。」とウェザーリポートの「オレンジレディ」の中で実際に使われたフレクサトーン(楽器名)の音を出してレクチャーした。この指摘がとても重要で、パーカッションとドラムの役割の明確な違いであると感じられた。続いて、彼が参加したチック・コリアのアルバム「リターン・トゥ・フォーエバー」から「ラ・フィエスタ」を二人で演奏。本当に一つの箱から出ているのかと耳を疑いたくなるほど多彩な音色を出すカホンソロと、ピアノのラインにのって、情熱的に歌い上げる鍵盤ハーモニカのプレイがスペインの雰囲気を醸し出していた。そして、話題はアイアート・モレイラ自身のヒット曲「トンボ・イン7/4」へ。クイズ形式も取り入れた4分の7拍子のレクチャーの後、別の彼の曲「ミストラーダ」と、「トンボ・イン7/4」の中間部(「サンバ・デ・ジャネイロ」)をミックスさせた演奏で前半を終了。「ミストラーダ」は、明快なリズムワークで、4分の7拍子がクリアに聴こえ、参加者も納得した表情で体を動かしながら聴いていた。「サンバ・デ・ジャネイロ」はサンバホイッスル・パンデイロも入り、とても二人で演奏しているとは思えない音の厚みがあるプレイだった。

 後半はキューバ出身のモンゴ・サンタマリアについて。初めてジャズのスタンダードにポリリズムを使った曲として画期的だった「アフロブルー」を、簡明なポリリズムの解説の後モンゴ・サンタマリアやジョン・コルトレーンとは違うアプローチでプレイ。はたけやま裕のライブやレクチャーではおなじみのアサラト(楽器名)を取り入れ、ジャンべのソロも目が離せない圧倒的な演奏だった。中間部はテンポを落とし、叙情的なシーンを演出。鍵盤ハーモニカの哀感を帯びたインプロビゼーションが胸を打つ。

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 最後に「現在の私のジャズ」として紹介したのが、「落語の出囃子のジャズアレンジ」。「古典落語とジャズって似ていませんか?同じ話だけど奏者によって変わりますよね。」という問いかけに、大きく頷いて笑顔を見せる参加者も多かった。著名な落語家の出囃子「ぎっちょんちょん」「昼まま」を、アラブ風、4ビートにアレンジした演奏。和テイストのジャズとしてとても面白いと感じた。聴衆にも、ジャズの進化を予感させる新しい音楽として受け入れられたと思う。アンコールは「ウォーターメロンマン」。洗練されたパーカッションソロと、ピアノをベースにハモンドオルガンのように鳴り響く鍵盤ハーモニカが素敵な余韻を残して終了。

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 ある作曲家が「ジャズ100年の歴史の中で一番変わったのはリズム」と言っていたのを聴いたことがある。この講座は、パーカッションとジャズの幸せな出会いが、リズムの進化につながり、ジャズにより卓越した表現力をもたらしたことが感得できる内容だった。そして、改めてはたけやま裕&keikoの息の合った絶妙なプレイに感服。日本人らしい、新しい音楽を求めて、ジャズの深い懐に飛び込んでいる二人の挑戦を、これからも応援していきたい。

(TEXT:小町谷 聖 / かわさきジャズ公認レポーター)

■□■□ダイジェスト映像公開中!■□■□


◎かわさきジャズ2020 ジャズアカデミー 第4回
「リズムとジャズ」
日時:2020年10月30日(金)13時半〜15時半
会場:ミューザ川崎シンフォニーホール 市民交流室
講師:はたけやま裕(per)、Keiko(p)
posted by kawasakijazz at 00:09| Comment(0) | 日記
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