2019年11月03日

【レポート】10月26日ジャズクルーズ「京浜工場地帯の夜景と美しいサックスに魅了されたジャズクルーズ」

 10月26日、船上でジャズの演奏を聴きながら京浜工場地帯の夜景を満喫する、川崎市観光協会×かわさきジャズのコラボレーション企画、ジャズクルーズに参加した。この日は、全4回の日程のうちの最終日で、台風で順延となった10月13日の代替日。根本造船所の入口で受付を済ませて乗船を待つ間、雨が降ってこないだろうかと夜空を見上げながら、これから始まる楽しい時間にワクワクドキドキ。

 船に乗りこみ、階段を上がって船上に出る。ベンチに座るとほどなくクルーズがスタート。両岸には、非常灯を灯した工場が立ち並ぶ。羽田空港が近いこともあり、航空灯をつけた飛行機がときおり夜空をゆっくりと横切っていく。ゆったりとした波の揺れと少し肌寒い風が心地よい。

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 ジャズの演奏が始まるまでの間、ガイド役の坂本氏が大師運河、京浜運河、田辺運河などを経由してクルーズすることや、JERA東扇島火力発電所、東亜石油京浜製油所など工場夜景の見どころとなる建物を紹介。運河の入口で船が出入りする時の信号として点灯している「K」は川崎の「K」で、日本では川崎でしか使われていないなど、あまり知られていない情報が紹介されると、あちこちから「へえ〜」「ほお〜」と声があがった。

 クルーズのガイドが終わると、いよいよジャズの演奏。この日のアーティストは、jajaのメンバー、秋山幸男(サックス)、市村浩(ベースギター)、高島基博(ドラムス)と、ゲストメンバーの木村カエ(ピアノ)。jajaは2004年にホリプロからデビューし、毎年各地のジャズフェスティバルに出演するなど、幅広く活躍しているジャズバンドだ。

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 前半の1曲目は、「こもれ日」。秋山のすーっと柔らかく伸びていくサックスのメロディが、ゆったりとした船の揺れやほほをなでるような風の雰囲気にぴったりくる。合間のトークでは、「川崎の人は美女が多い」とサービス精神も忘れない。

 続く2曲目は「レディ」。ゴジラのように強い女性をイメージした曲と紹介したが、そのメロディはたおやかでやさしく、包み込むような温かさを持った女性のよう。「先日横浜でライブをしたときは、女子大生ばかりで緊張したけど、今日は緊張しませんね」と、秋山の軽妙なトークが続く。情緒的でしっとりしたサックスの音色と、ぶっちゃけトークとのギャップがおもしろい。

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 3曲目は「情熱の川崎」。軽快なリズムに、思わず足や手、からだ全体でリズムを取ってしまう。隣にいた男性も、足で楽しそうにリズムを刻んでいた。そして、「人の愛を大事にしよう」というメッセージを込めて、TVアニメ『ドラゴンボール』に出てくるピッコロ大魔王の名言を紹介したあと、ラストに「フレンズ」を演奏。人の心にグッとくる大きな愛にあふれた曲が終わると、観客から歓声があがった。

 休憩中は、再びガイド役の坂本氏が登場。JFEスチール東日本製鉄所やJR東日本川崎火力発電所など、夜景の見どころを紹介したあと、後半のステージへ。ベースギターの市村が作曲したという1曲目の「アンダルシアの風」は、スペインの青い空と乾いた風を連想させるようなさわやかな曲。続いて演奏したスローテンポの「ドリーム」は、大きな夢へのあこがれがと希望を感じさせる。

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 気が強い川崎の女性をイメージしたという3曲目の「川崎デスペラード」は、力強い曲調。偶然にもこの曲が始まると、船が前後左右に強く揺れはじめた。まるで演奏に呼応するかのように、大きな波に抵抗しながらググッと力強く進む船の勢いを感じた。

 誰でも知っている曲が聴きたいと休憩中にリクエストされたのに応え、4曲目に入る前に、秋山が「アンパンマンのテーマ」をひと吹き。終わりの音をマイナーコードにアレンジするという意外な終わり方に、みんな大爆笑。どこまでもサービス精神を忘れない秋山だ。

 ラストは、この時間が永遠に続くようにという願いをこめて、TVアニメ『デビルマン』のエンディング曲「今日もどこかでデビルマン」の一節を紹介したあと、「フォーエバー」を演奏。やさしいピアノのイントロから始まるスローバラードは、静かに語りかけるような中に秘めた情熱が隠された曲だ。

 演奏が終わると、「ブラボー!」の歓声とともに大きな拍手が送られた。終演後はjajaのCDを買って秋山にサインをもらう人や、来年1月に行われるコンサートのチラシを興味深く手にとる人の姿も見られた。

 心地よい風と船の揺れを感じながら、夜の闇に幻想的に浮かびあがる工場夜景と、どこまでも伸びていく美しいサックスの響き、そして軽妙なトークに引き込まれ、あっという間の2時間だった。

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Text:河本美和子(かわさきジャズ公認レポーター)

◎公演概要
【工場夜景ジャズクルーズ】
日時:2019年10月26日(土)19時開演
会場:フロンティアルーツ(船上)
出演:jaja&木村カエ(ピアノ)
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2019年10月30日

【レポート】10月11日 ジャズアカデミー「15歳のジャズプレイヤーが感じた“ジャズの未来”とは」

 10月11日、ジャズ・アカデミー第2回【ジャズ・オーケストラの未来】がミューザ川崎で行われた。世界をまたに駆ける気鋭のジャズ作曲家をひと目見ようと市民交流室はほぼ満席になった。

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 言葉では表し難い、何ともジャンルの説明のつかない現代のラージ・アンサンブルを、私は解明してみたいと思った。現在進行形の“ラージ・アンサンブル”、そして海の向こうで起きているイノヴェーションを正確に説明できる大人だってまだ少ないのだから。

 美帆さんは光沢のある深い牡丹色のトップスに黒のタイトスカート、髪をアップにし颯爽と登場。すると私の頭の中でfox capture plan(現代版ジャズロック、若者に人気の日本人バンド) の「エイジアン・ダンサー」 “挾間美帆版”が鳴りはじめる。ピアノトリオの彼らは、第一・第二バイオリン、ビオラ、チェロを加えこの曲をアレンジした。美帆さんのバンドm_unitも、フレンチホルンを含む管楽器セクションに弦楽器を組み入れた珍しい13人編成なのだ。美帆さんのビジュアルからインスピレーションを得て、聴きなれたこの曲とm_unitの紡ぎだすサウンドが独りでに融合し、頭の中で鳴りはじめた。女子高生としての第一印象は“kawaii”だ。迎え来る台風対策にねぎらいの言葉をかけ、参加者の何となく不安な気持ちに寄り添うあたりや、何でも答えてくれそうな気さくさに、“かわさきジャズ公認レポーター”としても好感が持てる。

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 話はまず生い立ちから始まる。大河ドラマのテーマを作曲してみたいという初期衝動から、小学校の頃より漠然と作曲家を志す。国立音楽大学のサークル(ニュー・タイド・ジャズ・オーケストラ:コンテンポラリーが得意)の演奏を聴いて、自分の作りたい音楽に似ている!と入学早々ジャズの世界に飛び込んだり、好きな作曲家を追いかけマンハッタン音楽院に留学したり。当時、アメリカでの演奏機会は少なく、ラージ・アンサンブルのほとんどはヨーロッパで演奏されていたというのに。彼女が幾多の困難や壁を、むしろ励みとすらしているようなしなやかさは、新譜「ダンサー・イン・ノーホエア」のイメージそのもののようだ。

 様々な国籍やバックグラウンドを持つm_unitのメンバーをまとめ上げ、作曲家・アレンジャー・指揮・プロデューサーとしてNYをベースに世界を駆け回る。その原動力はどこからくるのだろう。クラシックとジャズの両立を目指す私としては、ジャンルの壁を意識せず、自由に行き来している美帆さんがとても頼もしく思えた。

 ここからビッグバンドの潮流、そしてラージ・アンサンブルとはいったいなんぞや?ということをご説明しよう。ラージ・アンサンブルとは、大編成で演奏するビッグバンドやジャズ・オーケストラの総称だ。ダンス・ミュージックとして求められた時代を経てカウント・ベイシーやデューク・エリントンにより鑑賞音楽へと昇華した。やがて現代版ラージ・アンサンブルの源流となるヴァンガード・ジャズ・オーケストラが誕生する。

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 50年あまりの変遷で重要な人物といえば、故ボブ・ブルックマイヤー。彼を師事したのが、近年【ギル・エヴァンス・プロジェクト】を率い未発表作品をリリースしつづけるライアン・トゥルースデル、個性的な作風のダーシー・ジェイムス・アーギュー。ヴァンガード・ジャズ・オーケストラにまつわるもうひとりの重要人物が、ジム・マクニーリー。美帆さんはそのジムに師事するため単身NYに飛び込んだ。一方、ギル・エヴァンスの弟子で女性ながら90年代以降のラージ・アンサンブル界を牽引してきた立役者がいる、美帆さんも影響を受けたマリア・シュナイダーだ。こうやって世界中から作曲家たちがNYに移住し、ビッグバンドの要素と楽器編成を駆使した新しい音づくりに挑戦し続け、創意あふれる優れた曲を次々と生み出したおかげで、現在のラージ・アンサンブル界は活性化した。

 美帆さんの解説を聞くにつれ、音楽を追求する姿やジャズ特有の演奏形態から、作曲家とは漫画の原作者で、インプロヴィゼーションを任されるメンバーはアニメーターや声優のように思えた。それぞれの世界観を自由に表現することで原作を超越するアニメ作品に仕上がるように、作曲家はメンバーに作品を託すことでバージョンアップを期待する。だからこそ、挾間作品の大事な要素となるメンバーは、音色やテクニックだけでなく、場の空気が読めること、人柄や生活態度にまでこだわって選ぶ。

 NYは多様な人種・民族のアイデンティティを受け入れようとする寛大な街。だからこそラージ・アンサンブルは成熟できた。そしてNYで自分にしか作れない音楽を追求する喜びが、美帆さんのエネルギー源なのだと確信する。一方、川崎はどういう街だろう。染み込んだ多様な文化や人々の記憶に“橋を架ける”のが、かわさきジャズのコンセプト。NYの包容力に助けられ進化を続けるラージ・アンサンブル同様、世代をつなぎ、ジャンルを超え、地域に橋を架ける都市型音楽フェスは、川崎に何をもたらすのか。

 多くの社会人バンドが活動するこの街で、大河ドラマのラージ・アンサンブルを聴き、いち早く最新のNYジャズがかかることを待ち望みたい。

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Text:坂井奈々香(かわさきジャズ公認レポーター)

◎イベント概要
【かわさきジャズ2019 ジャズアカデミー】
日時:10月11日(金)13:30〜15:30
会場:ミューザ川崎シンフォニーホール 市民交流室
テーマ:ジャズ・オーケストラの未来
講師:挾間美帆 (ピアニスト、作・編曲家)
posted by kawasakijazz at 07:57| Comment(0) | レポート

2019年10月29日

【レポート】川崎ジャズプレイヤーズフェスタ

ジャズを愛してやまない社会人プレイヤーたちが大集結する、毎年恒例のフリーライブイベント【川崎ジャズプレイヤーズフェスタ】が10月19日、20日の2日間、川崎駅前2会場(ミューザ川崎シンフォニーホール市民交流室/ラゾーナ川崎プラザソル)にわたって開催されました。

多数のバンドが出演した同フェスティバルより、20日の市民交流室に出演したponte mareのライブの模様をお届けします!
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♪Ponte Mare♪
バンド名は海の橋…横浜を中心に活躍中!!
ジャズは港町横浜から川崎〜ココに橋が架かった!
圧倒的な存在感Vocalさいとーえりさんにこにこ
唄ってる時のノリの良さ、美しい佇まいが半端ない。

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観客席の上品な叔母さまが思わず足でリズムを取っているのが可愛らしく微笑ましい。
今どき男子も大きく写メとり、満足顔。
Vocalえりさんの指のカウントと客席の手拍子!
会場全体がひとつのスウィングになった瞬間。ブラボー٩( ᐛ )و

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photo & text by 金井まち子(かわさきジャズ公認レポーター)
posted by kawasakijazz at 16:25| Comment(0) | レポート