2019年11月10日

【レポート】10月26日 川崎市・ボルチモア市姉妹都市締結40周年記念ジャズライブ(後編)

 引き続き、第二部【ユキ・アリマサ・カルテット JAZZライブ】が開催された。ジャズは相当聴いてこられたであろう350の観客は、待ってましたとばかりの大拍手。私たち親子は、これから何が起きるのかに期待。それと同時に観客にどう対峙していくのかにも興味が沸いた。

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 アメリカに25年もいたがボルチモアとは今まで縁が無く、地名を冠する曲や地元出身の作曲家、ミュージシャンさえ見つからず。ボルチモアにちなんだ曲をとリクエストされて困り果てたと、ユキ・アリマサさんがユーモアたっぷりに。ジャズには恋や愛憎うずまく歌が多く、国際交流やフレンドシップにちなんだ曲は少ない。当日まで迷いに迷って、現場に来てから当日のパンフレット読み、ユキ・アリマサ(Pf)、原朋直(Tp)、マーク・トゥリアン(b)、デニス・フレーゼ(Dr)の4人が連想ゲームのように選曲した、というのが以下の5曲。もちろんPAなしの生演奏を、息つく暇なく酔いしれさせてもらった。

・「A Beautiful Friendship」/ドナルド・カーン作曲

 美しい友情は終わり、男女の愛に生まれ変わるというスタンダード曲。文字通り、友情の架け橋的な意味合いで選んだ。

・「Sail Away」/トム・ハレル作曲 

 パンフレットにあったボルチモア港の写真を見てひらめいたそうだ。上空から撮影された港はパレット状に美しく整備され、複数のビルはまるで水上に建っているかのよう。内陸部まで船で入り込める機能性を兼ね備えた天然の良港の穏やかなイメージがこの曲にピッタリ。

 原のヨットが、スーッと一筋の線を描いて湾を進み、やがて外洋に出る。帆を膨らませ波をけたてて勢い良く進むヨット。昔、博多湾で何度かヨットに乗ったことがある。その体験がふと蘇り、頬にかかる白い波しぶきが見えるほどだ。原曲はトランペットの詩人と呼ばれるトムに、ジョン・アバークロンビーのギターが絡むおっとりとした曲だが、今回ユキ・アリマサのピアノがそれを越えたアプローチで迫ってくる。

 別に疲れていた訳でもないのに、脳内クルージングしているかのようで、うつらうつらとしてくる。隣で娘がスースー寝息をたてた。土曜午後の昼下がり、はや2曲目でもう満足だ。

・「Peace」/ホレル・シルバー作曲

 ベースをフィーチャーして。マーク・トゥリアンのソロから始まった。ホレス・シルバーはゴスペルやアフリカ、ラテン音楽など幅広い音楽スタイルに影響されたと云われているが、今日のPeaceは東洋や中東的な響きが醸し出され、ベースに特に詳しくない私でも新たなアプローチに惹きつけられた。

・「ボルチモア・ブルース」/原朋直作曲

 今回のイベントを記念し、テーマを即興で作りましたとのこと。きっと、第一部のトークショーを聴きながら、控え室で捻り出したということなのだろう。同じ学内で日頃から顔を合わせているカルテットとはいえ、直前に即興で作ったテーマからここまで曲が盛り上げられるのか。ジャズの真骨頂を見せていただいたというのが率直な感想。

・「Bridges」/ミルトン・ナシメント

 二つの都市の友情の架け橋の意味をこめて。ミルトンのデビューアルバム『トラヴェシア』の去っていった恋人を想う歌詞ではなく、サラ・ヴォーンの『I Love Brazil!』のほうの歌詞だ。サラは歌う、「信じれば、きっとそこに橋はかかる」。エンディングにふさわしい終わり方だった。

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Text:坂井広美(かわさきジャズ公認レポーター)

※レポート前編⇒こちら

◎川崎市・ボルチモア市姉妹都市 締結40周年記念ジャズライブ
日時:10月26日(土)15:00〜
会場:川崎市国際交流センターホール
第一部 「ボルチモア」トークショー
出演:
日本ボーイスカウト川崎地区協議会 青少年ボルチモア派遣メンバー
公益財団法人 川崎市国際国流協会 会長 平尾光司(川崎市ボルチモア訪問団)
第二部 JAZZライブ
出演:
ユキ・アリマサ・カルテット
ユキ・アリマサ(ピアノ)、原朋直(トランペット)、マーク・トゥリアン(ベース)、デニス・フレーゼ(ドラムス)
posted by kawasakijazz at 14:25| Comment(0) | レポート

【レポート】10月26日 川崎市・ボルチモア市姉妹都市締結40周年記念ジャズライブ(前編)

 10月26日【ユキ・アリマサ・カルテット JAZZライブ国際交流センター】に母と行く。なぜ、ボーイスカウトとジャズ?と単純な疑問を抱きつつ、元住吉駅の改札を出る。エスカレーターを降りるとブレーメン商店街が賑やかに迎えてくれる。母が言う、タイムスリップした気分になるのよね。どこも活気にあふれ目移りする店々を抜け、寄り道は後回しに会場へ。ジャズファンのご年配の方々で早々に席は埋まっている。私と同じ高校生がほとんど居ないのは意外だった。

 今回は、ボルチモア市との姉妹都市締結40周年記念事業で、ボーイスカウト川崎地区のトークショー第一部とジャズライブの第二部で構成されていた。

 『ボルチモア・トークショー』の冒頭は相互交流の説明から。メリーランド州最大の都市であり、アメリカの星条旗発祥の地であるボルチモア、古くから天然の良港として栄え、世界屈指の医学の殿堂ジョンズ・ホプキンズ大の中にはピーボディ音楽院があってジャズで有名なこと、相互交流は28回目で一年おきに行き来しており、1985年の第一回には20名の学生さんが参加したことなどスライドを使って語られた。

 そんな一行は7月20日に日本を出発、2週間強の派遣交流を終えた高校生の坂本美優さんと大竹和真さんが、日本ボーイスカウト川崎地区の派遣メンバー代表として現地での様子を楽しく語ってくれた。

 まず驚いたことは、日本ではあり得ない大規模なキャンプ場(幸区と同程度の広さ)。その広さを生かした野外活動は日本と違いアクティビティがキャンプの中心、衣食住は提供され賄い付きなのだ。食事の準備などに煩わされることなく野外での非日常体験を重ね、1週間の共同キャンプを過ごしながら交流を深めていく。さよならパーティでは日本側から和食が振舞われ、特に出し巻き卵が好評で、と坂本さんが嬉しそうに。ソーラン節も披露してパーティはおおいに盛り上がったそうだ。

 後半はホストファミリー宅へ。ボルチモアに到着してすぐホストとのマッチングがあるため、キャンプをともに過ごし現地の学生と仲良くなったあと安心してホストの家で過ごせるのはいいアイディアだ。現地観光はホストファミリーが考え、他にもニューヨークツアーやワシントンツアー、ボルチモア市長の表敬訪問や親善大使を務めた。大竹さんはボルチモア・オリオールズのグラウンドに立ちとても感動したことを生き生きと語り、高校生として充実すぎる2週間がちょっと羨ましいくらいだ。

 川崎には9つの姉妹都市があるがその中でもボルチモアとは濃密な関係にあり、市民交流や商工会議所、スポーツなど多様な交流がなされている。今回も福田市長が団長として向うはずであったが、台風19号襲来の陣頭指揮をとるため、山崎議長が代わって団長となり、ボルチモアのヤング市長と協定書を交わされたとのこと。

 平尾光司会長さん(川崎市国際交流協会)はボルチモアとの派遣交流を通してこのように締めくくられた。「若いときに海外交流を重ね外へ出ていくことは、皆さんの成長にとって、また社会活動のベースとしても大切なことです。ぜひ、日本や川崎を海外に紹介できる人になって欲しいです。」

 また、ボルチモアとジャズとの関係性についても語られた。ボルチモアはニューヨークやニューオリンズと並びアメリカのジャズ中心地のひとつ。ジャズライブハウスがたくさんあり市民にジャズが溶け込んでいる。そのため今回ジャズライブを企画したと。最後に、会長さんがジャズについて熱く語った姿は印象的だった。

 国際交流センターには、様々な国のたくさんの資料や催し物のチラシが置いてあり、音楽や料理など誰でも参加しやすくユニークなものが多いと気づき、私はふと考えた。外国人が多く住む川崎ならば、住みなれた街でも容易に国際交流はできる。来年4月にはここでミュージック・フェスティバルも予定されている。親子で、あるいは孫や祖父母を誘って、催しのついでにでもいい、身近な国際交流の方法について調べたり、もっと国際交流センターを市民が活用していければいいな。そういうことから、日本ボーイスカウト青少年メンバーのように、海外へ積極的に目を向ける高校生が増え、やがて川崎に貢献できる人材育成にも繋がるのではないかと。

※後編に続く⇒こちら

Text:坂井奈々香 (かわさきジャズ公認レポーター)

◎川崎市・ボルチモア市姉妹都市 締結40周年記念ジャズライブ
日時:10月26日(土)15:00〜
会場:川崎市国際交流センターホール
第一部 「ボルチモア」トークショー
出演:
日本ボーイスカウト川崎地区協議会 青少年ボルチモア派遣メンバー
公益財団法人 川崎市国際国流協会 会長 平尾光司(川崎市ボルチモア訪問団)
第二部 JAZZライブ
出演:
ユキ・アリマサ・カルテット
ユキ・アリマサ(ピアノ)、原朋直(トランペット)、マーク・トゥリアン(ベース)、デニス・フレーゼ(ドラムス)
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2019年11月04日

【レポート】10月18日 ジャズアカデミー「奇跡のコラボ!!夢のセッション…かわさきジャズ♪サンタの鈴が鳴る」

 10月18日の【ジャズアカデミー】の講師は、11月15日にラゾーナ川崎プラザソル公演に登場する細川千尋、山下伶、はたけやま裕。かわさきジャズのステージが初共演となる女性アーティスト3名がコンサートを前にミューザ川崎シンフォニーホール市民交流室に集結し、「私のお気に入り 〜 My Favorite JAZZ」をテーマに約2時間の講義を行なった。

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 ジャズ・ピアニストの細川千尋さんは、米・モダン・ジャズの巨匠ビル・エヴァンスの魅力に迫るアルバムを発売したばかり。フランスの印象派に影響を受けているクラシックにはじまり、ラヴェルのピアノ協奏曲ト長調でジャズ・クラシックの良さを知る。日本を代表する作曲家の1人、伊福部昭氏もラヴェルが好きが高じてゴジラの曲を作り、そこで改めてクラシックと向き合ったそう。歴史って繋がっているなぁと実感。また、ドビュッシーの音楽表現は印象派主義音楽と呼ばれ、画家ではモネ、ドガ、セザンヌに共通する表現手法であり、優美なピアノタッチが特徴。

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 クロマチックハーモニカ奏者の山下怜さん。一つの穴で4つの音。クロマチック=半音階。押しボタンがあり、♯♭が出せる。吐いて吸って。自身の物は16穴。ヴァイオリンと同じ音域で、大きさは10分の1。元々、フルートを勉強していて、映画音楽〈ひまわり〉をフルートでリクエストされ初めてクロマチックの動画を見て衝撃を受けたのがきっかけだそう。スティービー・ワンダーのハーモニカ・ソロ曲「Isn't She Lovely?(可愛いアイシャ)」や長渕剛、ゆずの弾き語り。ハーモニカが奏でる歌の魅力あるある。そして…一番は、ヴォーカル的でも管楽器的でもあり、ギターやピアノと違って肉声に近い。ピアノとパーカッションの真ん中での演奏はまさにヴォーカルのよう。

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 そして、パーカッション奏者のはたけやま裕さん。カホーンとはペルー発祥の打楽器で、楽器自体に跨って演奏される木の箱型のもの。コンガのように股に挟んで演奏するそうで、なるほど…裕さんの服装がパンツなのは大きくうなづける。コレは、スカートはムリ!両手両足、しかも、リズムまで全部それぞれの動き。これを一人で演奏。これは見なきゃ損!!

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 最後に…ジャズは譜面も貰わない。リハーサルもしない。初めましての人と本番で演奏することも多い。なるほど〜私もジャズ・ヴォーカル教室に通っていた時、先生に「譜面通りに歌わない!」と言われたことを思い出した。

 3人の美女が織りなすハーモニー♪は必聴必見!夢心地を味わいたい人は11月15日、早めに仕事を終えて、ラゾーナ川崎プラザソル【Colorful JAZZ〜細川千尋×山下伶×はたけやま裕】に参戦しましょう!

Text:金井まち子(かわさきジャズ公認レポーター)


◎イベント概要
【かわさきジャズ2019 ジャズアカデミー】
日時:10月18日(金)13:30〜15:30
会場:ミューザ川崎シンフォニーホール 市民交流室
テーマ:私のお気に入り 〜 My Favorite JAZZ
講師:細川千尋(ピアニスト)、山下伶(クロマチックハーモニカ奏者)、はたけやま裕(パーカッション奏者)

◎公演情報
かわさきジャズ2019
【Colorful JAZZ〜細川千尋×山下伶×はたけやま裕】
日時:11月15日(金)19時開演
会場:ラゾーナ川崎プラザソル
詳細はこちら
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